キミと初恋。
「人の話はちゃんと聞け。自分だけ全部吐ききってすっきりしましたって顔すんのやめろ。スッキリして勝手に自己完結してんな、バーカ」


……な、なんでこんなに私は怒られてるんだう。


「正直俺はまだ、風花に対して気持ちがある」


あっ、心臓ズキッていった。

颯ちゃんがお姉ちゃんの事を風花って呼んでるの、初めて聞いた。やばい、思った以上にダメージきついかも……。


「これからどうなっていうかは分からねーけど、風花への気持ちは大なり小なり持ち続けるとは思う」


うん、知ってますってば。颯ちゃんが簡単にお姉ちゃんを忘れられるなら、あんな日替わり彼女なんて何人も必要なかったですもんね。


「けど、正直俺はかすみと話さなくなってからの方がつまんねーって思ってた」

「でも私は先輩と友達ごっこはできません」

「知ってるっての。だから最後まで聞けって」


颯ちゃんがもどかしそうに眉間にシワを寄せた。イライラしてる証拠だ。だから私は黙って颯ちゃんの話を聞く事にした。


「この半年間、俺は風花と別れた悲しみより……かすみと一緒に過ごせなくなった事の方がしんどかった」


だから、それって話は堂々巡りじゃないですか。そう思ったけど、颯ちゃんは真っすぐ私を見ながら、こう言った。


「まだ、ちゃんと気持ちの整理ついてねーけど……俺と一緒にいて欲しい」


いや、だからーー。


私は口を開きかけて、そのまま閉じた。なんだか話が噛み合わないかも……そう思って。


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