キミと初恋。
「かすみに告られてから、ずーっと考えてたんだよな。なんか、つまんねーなって」

「そんなの知りません」

「ははっ、つめてーな」


はい、私は冷たいんです。だから友達になんてなれませんよ。先輩の物足りなさを補う存在には、もうなれません。


「お花、ありがとうございました」


私はそう言って頭を下げた。その勢いでその場を去ろうとしたのに、颯ちゃんが私の行く手を塞いでくる。


「あの、邪魔なんですけど」

「知ってる」

「どいて下さい」

「俺にもちゃんと言わせろよ」

「友達役はもうごめんですから」

「違う」

「じゃあなんですか。また寂しさを紛らわす彼女役にでも任命する気ですか?」

「……ははっ、ひでー言いぐさ」


ちょっと、言い過ぎた。そう思った時にはもう遅かった。颯ちゃんは傷ついたって顔をして、私から視線を逸らした後だった。


「……すみません、言い過ぎました」


颯ちゃんが変わってきてるって知ってる。それはこの半年間、遠目に見てても分かったくらいだ。それにさっき颯ちゃんの元カノである先輩も言ってたじゃない。颯ちゃんの日替わり彼女達にはちゃんと謝ってたって。

颯ちゃんなりにちゃんとけじめをつけたんだと思う。それなのに……。


「でも、先輩も悪いんですよ。私は知ってるんですからね、先輩はまだお姉ちゃんの事を好きなんだって……。だから私は先輩の友達にはなれませんし、万が一でもお姉ちゃんに会う為の繋ぎにするつもりなら……」

「そんなことするかよ、バーカ」


……バカ?


「だからお前は馬鹿なんだよ、バーカ」


馬鹿の嵐だ。こんなシリアスなシーンでこんなにあっけらかんと馬鹿を連発されると思ってなかっただけに、私は口をぽかんと開けて颯ちゃんを見やった。


< 179 / 204 >

この作品をシェア

pagetop