キミと初恋。
ーー翌日。


「悪い、待った?」

「いえいえ、私も今着いたところです」


改札を抜けて私の姿を見つけた瞬間、颯ちゃんは私のいるところまで駆けつけてくれた。

そんなちょっとした颯ちゃんの行動がとても嬉しく思う。


「じゃあ行くか」


そう言って私を誘導するかのように、颯ちゃんは少し前を歩き出した。

颯ちゃんの私服姿、初めて見る。普段は制服なだけに、私服姿はまた違って見えて胸の奥がムズムズと唸りをあげている。

颯ちゃんの後ろ姿。いつもなら遠くから見ていたはずのこの姿をこんなに近くで見ていられる。

憧れていた距離。なのに、私の心にはズシリと重たい感情が支配し始める。


「かすみ?」


その声にはっとして、私は颯ちゃんと向き合った。

颯ちゃんが私の顔を覗き込むその距離がまた近くて、私は思わず後ずさりなんてしてしまう。


「あっ、なんか颯ちゃんの私服姿に見惚れてしまってました」


あははっ、と笑って見せると颯ちゃんはニヤリと笑って私の頭をくしゃりと撫でた。


「バーカ」


それだけ言って、颯ちゃんは再び前を向いて歩き出した。


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