キミと初恋。
「悪かったって。聞こうとは思ってたけど、色々あったからつい忘れてたんだ」

「重要視してなかっただけでは? 名前なんてどーでもよくて、とりあえず女子達を追い返せる風よけがいれば良かったんですもんねー?」

「だからそうやって裏読みすんなって」

「これは裏読みじゃなく表です。事実でしょ?」


うぐっ、なんて分かりやすく固唾を飲む先輩。

ほらやっぱり。図星なんじゃないか。


「そういうお前こそ、俺の名前知ってんのかよ」

「知ってますとも、青井先輩」

「苗字じゃなくて下は?」

「青井颯太(そうた)先輩」


先輩は驚いたって顔してる。そんなに驚く事ではないと思うんだけど。


「むしろなんで知ってんだよ」

「だって先輩は学校の有名人ですよ。誰でも知ってますよ」

「それって、なんか怖えーな」


何をいまさら。そんな有名人にしたのは自分自身でもあるのに。

顔がいいからってだけじゃなく、彼女をコロコロ変えるチャラいヤツだって、自分が周りにそう知らしめたのだから。

そりゃフルネームくらいみんなだって言えるはずだ。



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