キミと初恋。
「偽り、か……」

「はい?」


先輩はしまったって顔をしながら、再び歩き出した。


「先輩さっきのって、花言葉ですよね?」


先輩は何も言わずにただスタスタと歩いていく。


「先輩ってば。なんで無視するんですか」


都合が悪くなったらだんまり……なんてさせませんから。今日ずっと酷い目に遭わされてきた分、仕返しさせてもらいます。

ってかそもそも、都合が悪い意味も分かんないんだけど。


「先輩ーー」

「俺ん家花屋やってるから、自然と詳しくなるんだよ」


ええ、知ってましたとも。先輩の実家が花屋だって事、知ってました。それをわざわざ言わないけど。


「えー、いいじゃないですか。だから花言葉とか詳しいんですね?」

「うっさい」

「なんでそんな隠すんですか?」

「男が花の事に詳しいとか、かっこ悪いだろ」


はいー?


「何言ってんですか。それ、園芸部の私に言います? そんな差別みたいな事言うわけないじゃないですか」


子供ですか。いや、先輩はなかなかの子供だ。180センチを超えるような身長してるのに、中身は子供だ。


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