恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
職場のことを、調子に乗って話し過ぎただろうか、多分そのせいで心配をされているんだ。
確かに、お試しで、とは言われたけれど、本当に試しだけのつもりでキスまで受け入れたりしない。
今日だって、もしかしたらって可能性も考えていたのだし。
好きなら、彼を受け入れて、それで安心してもらえるなら。
そう、確かに頭で考えたはずなのに、私を抱き寄せる彼の手が服の上から身体をなぞり、胸に触れた途端私は彼の手をはねのけてしまった。
「やっ!」
そのまま、ずり下がるようにして彼から少し距離を取る。
京介くんの、大きく見開かれた目に、ずきんと胸が痛んだ。
「ご、ごめん! ちょっとびっくりしちゃって」
「紗世ちゃん」
「あはは! だめだね、こういうのってなんか照れちゃって。心の準備がいるっていうか!」
「いや?」
「あ、えっと……嫌っていうか、ちょっと落ち着きたくて」
なんか緊張するし?
あ、コーヒーでも淹れようか!
逃げるように私はキッチンに立って、二人分のコーヒーを淹れた。
それからずっと、また空気がさっきみたいに変わるのが怖くて、ひたすらハイテンションで喋り続けてしまったのだ。
その意図に京介くんが気づかないわけはなく。
彼が困ったように笑って、「帰るよ」と言うまで、私の口は止まらなかったのである。