恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
エレベーターで五階に上がると、廊下を挟んですぐに営業部のフロアが広がっているからわかりやすい。
「あ」
「え?」
東屋さんの声に顔を上げると、彼の横顔がぱっと華やいだ。
そしてゆるゆると優しく口元が綻んで、彼の歩幅が大きくなり私は少し遅れる形。
給湯室近くに立っている女性社員がいた。
『さよさん』だ。
「さよさん、おはようございます」
「あ、東屋くんおはよ」
ほらやっぱり。
予想通りで、つい笑ってしまいそうになって口元を慌てて抑えた。
イケメンも、好きな人の前では形無しだな……って、まだ私の予想の範囲だけど、まず間違いないでしょこれ。
「一花さんも、おはよう」
「おはようございます」
背の高い東屋さんの影から、西原さんが私を見つけて笑って声をかけてくれる。
昨日のメモには、「顔立ちシンプル」とあったけど、確かにシンプルでも笑顔の可愛い人だと思った。
この二人が結ばれたら、なんだかすごく可愛らしいカップルになりそうだなと、そう思うと、上手くいかなかった昨夜の疲れが少し、癒された気がした。