恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
「ご、ごめんなさいっ……」
最初は、初めてだって知ったら味見すらしてくれないかもって思って言えなかった。
だけど、今日は先にちゃんと伝えておけば良かった。
だって、まさかこんなに痛いなんて、思わなかった。
「謝ることはないだろ。……もしかしたらとは、思ってたし」
「え?」
「ただ、悪い。出来るだけ丁寧にしたつもりだけど、痛いよな、やっぱり」
言いながら、彼が上半身を少しだけ起こしたから、私は焦ってその腕を掴んだ。
「や、やだ! やめないで!」
私があんまり痛がるから、やめてしまうのかとそう思ったから。
驚いて目を見開く彼に、私は必死で縋り付くように腕を掴む手に力を籠める。
「やめないで、い、痛くない! 大丈夫……、な、泣かないから……」
痛いし怖い、けど、こうしてもらえて幸せなのも本当。
ちゃんと、東屋さんのものになりたい。
ずっと、そうなりたかった。
東屋さんの驚いた表情が、一瞬苦しそうに歪んだ。
ぐっと何かを飲み込んで目を閉じると、深く長く、溜息をもらす。
私には、それが怒ってるように見えた。
「お前……ほんと……わかってないんだろうけど、勘弁してくれ」
「え、ご、ごめんなさい、怒らないで」
「怒ってないしやめないよ。けどちょっと呆れてる」
再び目を開けた彼は、確かに怒ってはいなくて笑ってたけど、ちょっと顔が引きつっていた。
そして次には、若干目も遠くなる。
「お前、初めてのくせによくもまあ、慰めたいとか」
「あ、あれは、だって! 落ち込んでるかもって思って、」
「……全部食べて、だっけ? しかもノーブラ」
「やっ、」
「……俺の気持ちも確かめないで、簡単に食われて捨てられてたらどうすんの」
ずっとからかうような口調だったけど、最後ばかりは声が真剣だった。