恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
今はまだ昼休憩中でフロアに人は少ないが、給湯室に隠れてこそこそと電話させてもらっている。
ラインのメッセージではなく珍しく通話の着信が入っていたので、やっと関係を修復させるチャンスだと急いでかけ直したのだけれど。



「あれは、ごめん。私が悪いの」

『え、紗世ちゃんは悪くないでしょ。俺が無理強いしようとしたから』

「いやいや、私が悪い。京介くんは悪くない」



俺が悪い、私が悪い。
責任を互いに奪い合って、二人同時に小さく笑った。


緩んだ空気に少し和んで、それからほっとした。
今度会う時、あんな空気になったらちゃんと私から相談しよう。


初めて、なんだと。
今まで機会がなかったから言ってなかったけれど、もしちゃんと伝えておいたらもし私が尻込みしても気を悪くさせることもないかもしれない。


『また近いうちに電話する。時間合わせて会おう?』

「うん」



その時だ。
がらっと、給湯室の引き戸が開いて、扉の脇に居た私は驚いて横を見上げた。


そう、必然的に見上げた。
入ってきた相手がとても背が高かったから。


げ。


と、私の顔がびっくりして固まったけど、東屋さんも負けないくらい目を見開いている。



『じゃあな、紗世ちゃん』



電話の向こうで京介くんの声がして、私も慌てて返事をする。



「あ! うん、またね!」

『仕事頑張って』

「うん、京介くんも頑張って」



急に恥ずかしくなってつい早口になりながら通話を終えた。

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