恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
だけど東屋さんが特別嫌な顔もしないので、開き直ってみることにした。
「だって、明らかに西原さんに対してだけ態度違いますもん」
そう言うと、嫌な顔どころかちょっとバツの悪そうな表情が激レアだ。
私としては寧ろ自爆して良かったとうずうずして、つい突っついてみたくなる。
「それより周知の事実ってどういうことなんですか」
もしかして、もう公認の仲的な、あと一歩とかそういうことなのかと、私は勝手に思ったのだ。
うずうずうず。
と期待の目で見る私に、東屋さんの返事は至極さっぱりしたものだった。
「事実は事実。営業部は皆知ってる。さよさんに綺麗さっぱり振られたことも」
「え?」
「つまり、もう終わったことなんだよ。あんまり余計なこと喋るなよ、もう蒸し返すつもりもないし」
こん、と拳で私の頭の天辺を小突いて、東屋さんは給湯室を出てしまった。
彼はなんでもないことのように言った。
大したことではないように、終わった過去の出来事として淡々とした声で聞いたのに。
私には、何の反応もできない程に衝撃で、一人残された給湯室に佇んでいた。
やってしまった。
勝手に色々憶測をして、無神経なことを。
そんな罪悪感はもちろんある。
だけどそれよりも先に感じたのは、ぎゅっと胸の奥を掴まれたような痛みだった。