恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】

幸せな時間の中に埋めたはずの不安の種は、幸せ色にはまだ染まってくれてない。
時折揺さぶられるように現れるネガティブ思考は、きっとそのせいなのだとわかってはいる。


だけどそれを自分の手で掘り起こして、東屋さんにぶつける勇気はなかった。
この幸せな時間を、変えてしまいたくなかったからだと思う。


ぶつけることで何か変わってしまうことが怖かったのだと思う。


愛用のバッグの柄には、イチゴのチャームが揺れている。
手元に戻って来てからは、そこがチャームの定位置で、目に入っては酷く懐かしい気持ちを抱くことが多くなった。

これをもらった頃の私は、決して多くを望んでなくて、ただ傍にいられれば、それだけを願ってたのに。


随分、贅沢になった。
もしくは、弱くなったのだろうか。


わからないけど、ちょこちょこと……主に糸ちゃんの余計な一言で刺激されることの多い不安の種は、ある日一息に芽吹くことになる。

< 271 / 310 >

この作品をシェア

pagetop