恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
九月。
夜になれば少しは暑さがやわらいで来たような気はするけれど、日中の気温はまだまだ厳しい。
アイスコーヒーの需要もまだ高く、朝と昼と二回、給湯室の冷蔵庫に作り置きしておいてちょうどよいくらいだ。
東屋さんに何か言われたみたいなのに、糸ちゃんはやっぱり時々私が昼にコーヒーを淹れているタイミングで給湯室に来る。
そしてやっぱり、東屋さんが出かけている時限定だけど。
「明後日、藤堂課長と西原さんの結婚式だねー」
そう。
明後日の日曜が結婚式で、営業部の人はほぼ出席する。
当然私も東屋さんも糸ちゃんもだけど、西原さん絡みの話を糸ちゃんとするのを避けたい私は、話題をそらした。
「そうですねえ。今夜は大学の友達と集まるし、今週は忙しいけど楽しいこといっぱいです」
「へー大学の友達? 大勢集まんの?」
「そですね、女の子五人と男の子四人ですね全員来れれば。在学中の仲良しグループなんです」
「えっ」
そこでなぜか糸ちゃんが反応して、私の方が少し驚く。
「何ですか?」
「男も来るって、もしかして元カレも来んの? 大学の仲間内だったって言ってたもんな」
「そうですけど……」
あれ。
やっぱりこういうのって変なのかな。
でも、ちゃんと東屋さんにも話したし、私たちはこれでいいと思う。
もし逆の立場だったとしても、私も東屋さんに行かないでなんてワガママ言いたくないし。
だから、私は次の質問にも胸を張って答えたのだが。
「え、東屋には内緒?」
「なんでですか。ちゃんと言いましたよ、行っておいでって言ってくれましたもん!」
「へー……わかんね。俺だったら絶対嫌だけどな」