だからそれは、愛じゃない。
空気で分かる。鶴橋くんから伝わってくるイライラが、どうしようもなく怖い。
でも、この状態で今更どうしようもできない。
そんなピリピリしてる空気の中、
「女には手、出さないヤツだから」
と、鶴橋くんが言葉を返した。
次の瞬間『ブーーーーッ!!』と、良太くんと祐樹が笑いを吹き出してしまった。
……………ええええ!!
いきなり笑い出す二人に唖然。これのどこで笑いを吹き出す要素があるの!!
全然笑える雰囲気じゃないでしょうが!!
「女には手出さないってなんなの。漫画のヒーローじゃあるまいし。そんなに怖いヤツなら普通に手出すに決まってんじゃん」
『バカじゃないの』的な空気で鶴橋くんを責め立てる。そんな良太くんに乗っかるように『っていうか、朱里の彼氏ってお前じゃなかったっけ??』と、クククとお腹を抱えて笑う祐樹。
……………そ、そうだ。
祐樹の存在忘れてた。
一人、私の彼氏を知ってる人が近くにいたのに。
……きっと、鶴橋くんも完全に祐樹の存在を忘れていたに違いない。