だからそれは、愛じゃない。







 放課後、朱里に今日飯食いに行く事を伝えると、クラスが違う鶴田は盗み聞きするように、ドア入り口に寄りかかって俺達を見ていた。



 ……何か言いたい事があるような。
 でも、俺じゃ話にならないから言わないのか。



 『じゃあ、もう行くね』


 朱里は鶴田に気を遣ったのだろう。
 鶴田を見ては急ぐように席を立ち、鶴田の元へ行ってしまった。



 クソ……部活さえなければ、朱里と一緒に帰ったのに。



 一分、一秒でも鶴田といてほしくない。でも今の俺にそんな事言う資格なんてない。



***




「お疲れ様でしたー!!!」



 部活を終えて体育館から出ようとした時。『和谷くん』と、聞き覚えがある声が聞こえた。



 萌さんが、ドアの入り口からひょこっと顔を出してきた。


「ちょっと良いかな?」


 何かあったんだろうか。
 ………萌さんがこんな時間に、俺を呼ぶなんて初めてだ。



 走るように、萌さんに近づく。


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