【中編】彼女様は甘い味。
「あー、『そういえば、さっき見たらお前のバイクが無くなってたよ』って言ったら出てったの」
微笑むその笑顔はまさに女の子のようです。
それにしても…
蓮先輩ってバイクに乗られるのですか!
…初耳です!!
あ、でもその大切なバイクが無くなってたしまったって、
「それって…、大変なことなのでは、ないでしょうか?」
そりゃそうだ。
バイクが無くなった、つまりそれは“盗難”ということになるわけで。
珍しく奏音は一般的な考え方が出来ているようだ。
「大丈夫、心配しなくても」
何故か笑いを交えつつそう言うと、
あたしのパジャマのポケットに手で触れる先輩。
その仕草を疑問に思いながらもやっぱり気になるのは、先輩の言った『大丈夫』という言葉。
…どうしてそんな確信が?
だって、だって!
バイクってそんな安いものではないでしょう?
それを盗まれてしまったなんて…、そんなの。
「何故なら…、ね?
…バイクが盗まれたなんてウソだからだよ〜ん」
ペロッと舌を出して笑う先輩。
こ、この人は…、
まったく自分が悪いとは思っていないんですね、むしろ…
楽しんでいます。
「そっ!…そんなの酷いじゃないですかぁ!!
…絶対、確実に怒って帰って来ますよ、蓮先輩は」
何を根拠に?
いや、根拠もないだろう。
この考えは確実に当たる、…気がする。