【中編】彼女様は甘い味。




真っ暗で、何も見えません…

先輩の大きな手の平、
あたしの両方の瞼に触れていると考えるだけで妙なドキドキ感に襲われます。



「自分に自信持てよ…もっと」

「…は、はい…」


頭の中はもうハテナだけで埋め尽くされてしまい、
ポロッと口からは『はい』と一言聞こえて。



一体、蓮先輩は何を…?




「その変な趣味だって…まぁキモいけど、

俺は嫌なわけじゃねぇし…」


「え…?先輩、嫌じゃないんですか?」



目を見開くようにしてそう奏音は言ったけど、

そんな奏音の様子なんて誰にも見えない。



先輩…、

もしかして本当は…?




上がる。上がる。


奏音の幸せテンションバロメーター。



少しずつ上がっていくそのバロメーターと同じく、奏音の口元も。少しずつ。


「何、笑ってんだよてめぇ」


あたし笑ってますかっ?




けれども、

とっても嬉しくて…


自然と顔が綻びますでしょう?

誰だってこんな嬉しいことがありましたら。



「先輩もあたしと…同じ気持ちだったのですね?」



もしかしたら先輩は…

素直じゃない照れ屋さんなので、なかなか言い出せなかったのかもしれませんね。


けど、あたしと先輩は同じ気持ち。…です。ね?



何だか照れますね、

とクスクス笑ってしまう。



「は…はぁ?」


そう言ってあたしから離れた先輩の手。



「好き、だったんですよね?…本当は」


すると目の前には顔を赤らめて激しく動揺中の、蓮二。



「ちょ…っ!?…え、…は?」



まさに混乱。


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