【中編】彼女様は甘い味。
先輩の混乱具合を見て、何だか微笑ましい気分になりますね。
ふふふ、と意味深な声を出して笑ってみせる奏音。
「先輩もあたしと同じように…」
「…っ!!」
「大好きなんですよね?
…ウーたんのことが」
言い切った!
とでも言うような誇らしげな表情をした奏音。
そうですよね…
先輩も実は隠れファンで、あたしに言うのが恥ずかししくて。
※確実に違います。
「……。」
あ、あれ…?
「あ…あの、どうなされました…?」
何故か分かりませんが…
先輩はブスッと不機嫌な顔をされていまして、
何かあたしイケナイことでも言いましたか?
あ、それとも本当は言わないで欲しかった…ということだとか?
そんな無駄な考えをしていると、頭上から声が降ってきまして…
「死にてぇのか…?お前は」
ひ、ひ…っ!!
ギロりとあたしを見る先輩の目が今とてつもなく怖く…
「生きたい…です」
そしてこの子も何を言ってるんだ。と誰もが思う。
「馬鹿かお前は、本当に殺すわけないだろーがアホ。
…なんかマジくだらねぇな」
馬鹿に、アホ。
同時に二つも悪いことを言われてしまいました…ね、
「馬鹿…アホ…」
誰にも聞こえない、自分だけが分かるような声で奏音は言う。
「本当にお前と居ると…
俺が俺じゃなくなる、
大体こんな他の奴と話さねぇしな、特に女なんてなおさらだけど」
「…それは、どういう?」
それは…それはあたしが他の方とは違って少しは…
少しは特別だと思って良いのですか?
「馬鹿かお前?
そのままの意味だよ、そのままの」
ニヤッと笑って先輩は言うと、あたしのベッドに寝転んでしまいました。