二人だけの秘密
『女性を褒めろ』

「それは、美希さんです」

僕はデート本に書いてあったことを信じ、はっきりとした口調で言った。

「えっ!」

その瞬間、彼女の顔が紅葉のように赤くなったのが分かった。微かに彼女の瞳が潤み、まっすぐ僕の目を見つめている。

刹那、その場に静寂が訪れた。彼女の息づかいが聞こえ、一秒ごとに高鳴る、自分の心臓の鼓動が聞こえる。

「もう、未来さん……冗談が過ぎますよ」

そう言ったものの、美希さんの顔は嬉しそうだった。
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