二人だけの秘密


『2月28日《金》午後3時42分』




「あんなかわいい子が、風俗嬢だなんて………」

「そんなに、金に困ってたん?」

「アイドルから一転、ものすごく落ちぶれたな」

「最初から、アイドルじゃないけどな」

「まぁ、それは言えてる」

「俺、佐伯のこと好きやったのに」

「嘘つけ。お前、それ別の意味やろ」

「未来さん、私の秘密をバラすなんてサイテー!」

「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

そう叫んだ瞬間、僕の視界が開けた。

いつもの教室の光景が目に映り、僕の嫌いな数学の授業の最中で眠ってしまったようだ。先生と生徒たちの視線が、一気に僕に注がれた。

「だいじょうぶですか?」

「は、はい。すみませんでした」

数学の先生にそう言われ、僕は頭を下げて自分の座席に座った。

ーーーーーーまた、美希さんの死ぬ夢を見てしまった。
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