二人だけの秘密
*
『4月28日《月》午後4時10分』
終礼のチャイムが、学校全体に鳴り響く。
「みんな、気を付けて帰って下さい」
担任の佐藤先生が心配そうに言うと、生徒たちは教室から出て行く。
「美希、一緒に帰ろう」
隣のクラスの工藤友梨が、僕たちのクラスに入ってきて美希に声をかけた。
「ごめん、友梨。今日は、無理」
美希が、雪のような白い手を合わせて辛そうに謝った。
「またぁ」
それを聞いた友梨が、怪訝そうな顔をする。
「それに今日は無理じゃなくて、今日も無理でしょ。美希」
友梨がどうでもいいことを指摘し、目を細めて美希を見る。
「ははは」
美希が、乾いた笑い声を上げる。
ーーーーーー美希は、今日も仕事なのだ。友達と一緒に帰ることを我慢し、好きな人と一緒に帰ることを我慢してこの仕事をしている。
ーーーーーーなんのために?
僕の心は、複雑に揺れた。
『4月28日《月》午後4時10分』
終礼のチャイムが、学校全体に鳴り響く。
「みんな、気を付けて帰って下さい」
担任の佐藤先生が心配そうに言うと、生徒たちは教室から出て行く。
「美希、一緒に帰ろう」
隣のクラスの工藤友梨が、僕たちのクラスに入ってきて美希に声をかけた。
「ごめん、友梨。今日は、無理」
美希が、雪のような白い手を合わせて辛そうに謝った。
「またぁ」
それを聞いた友梨が、怪訝そうな顔をする。
「それに今日は無理じゃなくて、今日も無理でしょ。美希」
友梨がどうでもいいことを指摘し、目を細めて美希を見る。
「ははは」
美希が、乾いた笑い声を上げる。
ーーーーーー美希は、今日も仕事なのだ。友達と一緒に帰ることを我慢し、好きな人と一緒に帰ることを我慢してこの仕事をしている。
ーーーーーーなんのために?
僕の心は、複雑に揺れた。