二人だけの秘密
「そんなに私のことを考えてくれているのは嬉しいですけど、勉強もやらないとダメですよ」

そう言って美希さんは、僕の額に自分の額をくっつけた。美希さんの小さな顔が、すぐそばにある。上目遣いでじっと見つめる、美希さんの艶めかしい瞳。

「ハァハァハァハァ」

僕の呼吸が荒くなる。心臓の鼓動が、ドクンドクンと音を立てる。

「顔は真っ赤ですけど、熱はないようですねぇ。これは一体、なんの病気かな?」

美希さんが冗談ぽく、いつも通り慣れ慣れしい口調で言う。

「………」

僕の心は、複雑だった。

美希さんは、裕也が好き。裕也は、分からない。けど、もし裕也も美希さんのことが好きだったら、彼から美希さんをお金を使って奪っているようで複雑だった。

そんなことを心の中で思っていると、「もしも私が死んだら、未来さんも死にますか?」

突然、美希さんは衝撃的なことを口にした。

いつもの慣れ慣れしい口調ではなく、少し沈んだ声。しかも、下の名前で呼ばれたことに心臓がドキッとした。
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