二人だけの秘密
「えっ！」

僕は驚きの声を上げ、美希さんを見た。

「あ、これから栗原ではなく、未来さんと呼びますね」

また、慣れ慣れしい口調。視線を上げると、美希さんが潤んだ瞳でまっすぐこちらを見つめている。

「あれは、夢の話だよ。それに、美希さんが死ぬ理由なんて、どこにもないじゃないか！僕の見た夢なんか、忘れてくれ。関係のないことさ」

「でも、夢で見たんでしょう。私が死ぬ夢。それがが現実になることもあるじゃないですか？未来さん」

美希さんにあっさりそう言われた。

「そんな夢……現実になったら最悪だよ。夢ですら、気分は最悪なのに……現実になったら………」

僕は、それ以上口にすることはできなかった。考えたくもなかった。

「夢だから、いいんじゃないですか？未来さん。名前の通り、私の死の運命から救う為に未来の夢を見てくれたんですよねぇ」

「………」

僕とは違う、明るすぎる性格。

「で、私が死んだら、未来さんも死ぬんですか？」

「もし、この夢が本当に起きたら、僕も死ぬよ。まぁ、そんなことはありえないけどね」

ふっと鼻で笑う僕の姿を見て、美希さんは目を細めた。
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