二人だけの秘密
「やっぱり美希さんは、裕也と仲がいいの?」
もう、残り時間も少なくなってきた頃。僕は勇気を出して、ずっと気になっていたことを聞いた。
「仲がいいと言うより、ただの幼馴染です。昔からの知り合いで、よく知った関係です」
ーーーーーーでは、美希さんが風俗で働いていることも知ってるのだろうか?
そのとき僕は、疑問に思った。
そして、「裕也は、知ってるの?」と訊いた。
「何がですか?」
細い首をかしげる、美希さん。
「この仕事のこと」
「あはは。知らないに決まってるじゃないですか。秘密ですよ、秘密」
美希さんは白い歯を見せて笑いながら、人差し指を口元に当てた。
ーーーーーー幼馴染にも言えないほど、この仕事を続ける意味は一体なんなんだろうか?
疑問に思った僕は、「裕也と一緒に帰りたいと思うときはある?」と、遠回しに訊いた。
「そ、それは………」
裕也のことを思い出したのか、顔を赤くして答える美希さん。口では答えを言わなかったが、美希さんの顔はイエスと言っていた。