二人だけの秘密
「お母さん。お母さん」

私は泣き叫びながら、同じ言葉を繰り返した。

「………」

もちろん、返事はない。

まだ温かい体温だけが、母親は生きてるのではないかと思わせてくれる。

「美希………」

後から病院に駆けつけた兄が、母親の眠っているような遺体に気づいた。

「お母さんが………お母さんが………」

私は兄に寄り添って、号泣した。
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