ラムネ瓶にさよならを



「…付き合うの?」

「わかんねえ」

いつもうるさい衣純の声は、本当に静かで。

蝉と風鈴の音に紛れて聞き逃さないように。

聞きたくないことも、ちゃんと聞こえるように。

必死に彼の声に耳を澄ます。


「なあ千夏、俺たちずっと一緒にいたけど、こんな話はしたことなかったよな」

「そ、そうだっけ」


するわけないじゃん。

私は衣純しか好きになったことないから、衣純の話しかできないんだもん。


「お前の話聞かせろよ」

「やだよ」

「ってことはいるんだな、好きなやつ」


ひゅっと息が詰まる。

衣純の顔を見ると、もう彼は田んぼを見つめてなんかいなかった。

衣純の真っ直ぐな瞳に捕まる。



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