極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
「紬?」
食後のお茶を飲んでいるとき、1人の男性が彼の名前を呼んだ。
「紬だよな?俺のこと覚えてる?ほら、山岳部で一緒だった…」
「芳川か!何年振りだ?変わってないな」
芳川と呼ばれた男性は茶髪で短髪のスポーツマンタイプ。
スーツの上からでも分かる筋肉質な体は山岳部というよりラグビー部っぽい。
細身の紬とは対照的な体格のひと。
でも仲は良かったようで紬の表情は明るい。
「私は少し席を外しますね」
昔話に花を咲かせるかな、と思って気を利かせて席を立つ。
でもあまり長い時間席を外すのも気にさせてしまうかな、と考えて10分後に戻ると、私が座っていた席に芳川さんは腰掛けていた。
「あ、ごめんね、気を遣わせちゃって。俺、芳川って言います。紬の大学のときの同級生」
席を立つと同時に名刺を手渡され、私も慌ててリュックから名刺を取り出す。
「勝俣楓です。よろしくお願いします」
「あ、税理士さんなんだ。恋人かと思ったけど。もしかして紬の会社を担当してるの?」
「はい」
紬の方を見てから短く答えると、芳川さんは私に腰掛けるよう促してから隣に座り、顔を覗き込んできた。
「芳川。近い。離れろ」
見兼ねた紬が注意してくれた。
でもアルコールの臭いを纏っている芳川さんには届かない。