極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
「いいじゃん。こんな美人滅多にお目にかかれないんだから」
そう言って、さらに距離を縮めてきた。
「すみません。近いです」
手のひらで制すも、その手を退けられてしまった。
「芳川!本気で怒るぞ!」
紬の怒声にようやく離れてくれた芳川さんだけど、視線はまだ据え置かれたまま。
それが無性に気まずくてウーロン茶に手を伸ばす。
「いや、でも本当に綺麗な子だね。これだけ綺麗なら紬も側に置いておくよね。面食いだもんな」
ウーロン茶を飲むのを止めて、紬の方を見ると、彼は芳川さんを睨むようにして見ていた。
「どういう意味だ」
「元カノの話だよ。ね、楓ちゃんだって紬の元カノ気になるよね?」
気になると言われれば気になるけど、気にならないと言えば気にならない。
どっち付かずの私を他所に芳川さんは勝手に話始めた。
「紬の彼女はミスキャンパスで、大学の卒業式に彼女の方から告白して付き合い始めたんだよ。在学中は誰とも付き合わなかった紬が告白を受けたとあってすごい噂になってさ、その後も上手くいってそうだったから結婚するんじゃないかとも噂されてたんだけど、紬の仕事が忙しくなって、彼女に連絡しなくなって自然消滅したらしいんだ。紬は来なかったけど、同窓会のとき彼女がボヤいてたぞ」
同じだ。
私とまるで同じ。
「仕事に夢中だったんですね」
紬に向かって言うも、なぜか芳川さんが答えた。