極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
「うちの事務所は関係者との恋愛を禁止しているじゃないですか」
別れたあと仕事がやりにくくなる、という所長の実体験による理由はそれなりに理に適っているから、独身の職員はみんなきちんとその規則を守っている。
「恋愛するな、って言うならまだしも、結婚を勧めるなんて。まったく。所長が作った規則ですよ?混乱させるようなこと言わないでくださいよ」
嗜めるように言うも、所長はニヤリと微笑んでから意味深な言葉を口にした。
「あれには裏の意味があるんだよ」
「なんですか、それ」
気になって反応すると所長は内緒話をするように手を口元に当てた。
「それはな……あ、でもその前に中津川の若社長にゴルフコンペの話はしてくれたのか?」
「あ!」
忘れてた。
再来月に事務所が主催するコンペに親睦を深める目的で紬を誘おうと所長が気を使ってくれたんだった。
所長の言う『裏の意味』は気になるけど、それはまた改めて聞けばいい。
急いで秘書の方に連絡して予定と…その前に紬がゴルフ出来るかを確認しなくちゃ。