極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
「勝手に決めるな。きみの悪いクセだぞ」


耳元で鋭い声が響く。
でも…


「でも、判断は早い方がいいんです。あなたは会社のトップなんだから。会社を、そして社員の生活を守らなければならない。少しの不安材料も見逃してはいけないんです」


私の存在が不安要素になり得るならそれは切ればいいだけの話し。
私の代わりはいくらでもいる。

でも紬は頑なに私を離そうとしない。


「問題の解決には尽力する。だから楓はこのまま俺のそばにいてくれ」
「いえ。それでは問題の解決にはなりません」


体を押し離し、強く否定するも、首を左右に振られてしまった。


「問題は楓じゃないだろ!不正をする、その心理こそが問題なんだ。それに俺はこんなことで考えを変えたりはしない。出会って間もないし、想いが通じたのも最近だが、共に人生を歩んで欲しいと願うのは楓しかいない。『どんなときでも守り抜く』という言葉に偽りはないんだよ」


珍しく荒げた声と真剣な眼差しと言葉が胸を打ち、返す言葉が見つからなくなってしまう。

そんな私に紬は言葉を重ねた。


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