極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
でもそれを紬は一蹴してくれた。


「皆さんは今、彼女が報告してくれた決算報告を聞いてもまだ無能だと思いますか?それともあれだけ分かりやすく話してくれても分からなかったですか?」


挑発的な物言いに場は静まり返り、役員の方々は目をそらすように俯いた。

そこに紬は更なる言葉を重ねていく。


「皆さんはどの程度までご存知か知りませんが、彼女はこの半年間で様々なコンサルティングを提案してくれました」


節税対策に始まり、今まで疎かにされていた部門別損益、資金繰りの把握、同業他社との比較、保険の見直しを図った。
中には無意味な提案となったものもあったけど、その判断は紬に一任していた。

ただ、結果が伴っても、聞きようによってはそう思わない人もいる。


「また出過ぎたマネをするような税理士を雇うおつもりですか?」


橋谷先生という前例があるからこその意見。
これには所長が手を挙げて答えた。


「わたしが担当でも同じ提案をしましたよ。それを出過ぎたマネ、と言われてしまえばさすがにこちらも考えを改めないといけないですね」


所長の言葉にひとりの男性が噛み付いた。


「何様なんだ!」


でも所長はなにひとつ間違ったことは言っていない。
だから口元に笑みを浮かべて肩を竦めた。
ただ、この所長の姿が火に油を注ぎ、火の粉が私の方に飛んできた。


「社長、こんな横柄な態度の税理士たちは我が社には相応しくない。即刻解雇しましょう!」
「そうですよ。聞けば色目使って仕事取ってるらしいじゃないですか」

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