極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
やはりその手の噂が流れていたか。

そんなの関係ないのに。

この場で言われたことが悔しくて、グッと拳を握る。

その直後、紬が立ち上がった。

そして全員の顔を見回してから疑問を投げかけた。


「皆さんはどうしてそこまで彼女たちを敬遠するのでしょう。もしかして本当にわたしが実力のない人間を、惚れた弱みで引き留めておくとお思いなのですか?」


心外だと言わんばかりの口調に役員たちは俯き、周囲の様子を伺うように視線を泳がせていた。
その頭上に紬は強い口調で言葉を重ねていく。


「少なくともわたしはあの苦労の日々を忘れない。二度と、尽力してくれている社員を不安にさせたくありませんから。だから言い方は悪いですが、そばに置いておきたいと思うのは社にとって有益だと思える人間のみです。結果を出してくれるひとをみすみす手放したりはしません。それはここにいる方全てに当てはまる。皆さんの経験と知識は他に変えられないものです。だからどんなに経営が厳しくなろうがリストラは決行しませんでした」


そこで区切り、ひと呼吸ついた紬は目を閉じ、このタイミングで不正について触れた。
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