極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
4年前。
大学時代から付き合っていた彼に言われた。
仕事が忙しくなるにつれて会う日が少なくなり、いつのまにか連絡することすらしなくなっていた私に彼はそう言って別れを告げたのだ。
『楓は俺より仕事が大事だったんだよ。だから今度は仕事より好きなヤツと恋愛しろよ』
傷付けたのは私なのに切なそうに笑いながらアドバイスをくれた彼を見て、そんな風に思わせてしまったこと、言わせてしまったことが申し訳なくて、すごく反省した。
だから私は彼が言ってくれた通り、仕事以上に想える人でない限り、恋愛はしないと心に決めている。
『そんなに思い詰めることないでしょ?好きなら好き。ただそれだけの話じゃない』
何かの折に友達に話したとき、そう言われたけど、誰かを傷付けるのは一度で十分。
それにこの手の話題は得意じゃない。
私の言動を恋煩いと勘違いしている所長に笑顔を向け、話を変える。
「ゴルフコンペ、中津川社長も参加することになりましたよ」
「おぉ!それは良かったな。迎えに行くんだよな?車内でふたりきり。お近付きになれるといいな」
だから、そっちに話を持って行かないでくれ。
ゴルフの迎えに行くっていうだけなのに、妙に意識してしまうじゃないか。