極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
「その勝負、受けて立ちます。ハンデはナシでいいので。その代わり、社長が負けたら私の願いをひとつだけ叶えてください」


人差し指を立てて見せると、紬はそれを手で払う仕草をしてから自身の手で荷物を積み、トランクの蓋を閉めた。


「きみには負けないよ」
「そう言っていられるのも今のうちです」


勝気な私に紬はプイと顔を背けた。

その意外にも子供っぽい仕草が可愛らしくて「ぷっ」と吹き出してしまう。

でも笑われたと気付いたら剥れるだろうと思って、顔を隠しながら紬の横を通り抜け、助手席のドアを開ける。


「俺が運転して行こうか?」
「いえ、大丈夫です。運転には自信があるので」


それにお客様に運転はさせられない。


「どうぞ、ご乗車ください」


手のひらを差し出し、助手席へと紬をスマートに誘う。
それに対して今度は紬が「プッ」と吹き出した。


「女性にエスコートされる日が来るなんて思ってもみなかったな。それにこの車、新型のスポーツクーペだろ?内装まで凝ってる。車の運転に自信があると言う女性も、車好きの女性も初めてだ」
「それはそれは。でもこれは父のものです」


父の唯一の趣味は二年ごとに車を変えること。
そのおかげで私もずいぶん車に詳しくなった。
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