極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
母はお金がかかると言って良く思っていないようだけど、今の話を父にしたら笑ってくれるだろう。

そう思いながら、助手席のドアを閉めて、運転席側に乗り込む。


「ん?」


なんだろう、この香り。
さっきまではなかった香水のような匂いが微かに漂っている。

甘い香りは明らかに父のものではない。


「ふーん」


見た目も財力もハイクラスの男性だから恋人がいても不思議じゃないけど、こうあからさまに存在をアピールされるといい気分はしない。

もちろんそれは私に恋人がいないせいなんだけど、朝から女性の香水を身に纏い、幸せをアピールされたことが少し癇に障ってしまった。

ただこの香り、どこかで嗅いだことがあるような…。
会社かな?
となると社内恋愛か。

それは羨ましいな。

うちの事務所ではあり得ないことだから。
でもなんか最近こんなことばかり考えている。

恋愛のことを考える余裕が出てきたってこと?それとも所長がやたら恋愛系に話を変えるから?それとも欲求不満?!
だとしたらそれはなんか嫌…。


「…ククッ」
「え?」


色々考えながら運転していると笑い声が隣から聞こえてきた。
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