極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
「はぁ…」


疲れる。

動き回ったせいで喉がカラカラだ。

予め冷やしておいたスポーツドリンクを飲み、ひと息つく。
そこへ所長のお客様である建設会社の山崎社長がやって来て、労をねぎらう言葉をかけてくれた。


「幹事、お疲れ様。今日は大変そうだね」


恰幅のいい山崎社長は暑いのか汗を物凄くかいている。
多めに用意しておいた飲み物を渡すとゴクゴクと一気に飲んだ。


「ふぅ。ありがとう。暑くて喉乾いてたんだ。楓先生は気が効くよね。冷えていて美味しい。ナカツガワの若社長が一目置くわけだ」


どういうことかと首をかしげると山崎社長はにこりと微笑んでから教えてくれた。


「彼は普段、ゴルフは親しい人としかやらないらしいんだが、『優秀な税理士がいる事務所が関わっている会社の方に興味があった』と言って今回参加を決めたそうだよ」


それは初耳だ。
しかも『優秀』だなんて。
照れくさいし、気まずくて、俯いてしまう私の頭に山崎社長の手が乗った。


「いいんだよ、素直に喜べば。間接的に褒められた僕たちでさえテンション上がったくらいなんだから、直接褒められたら嬉しいでしょ」
「そう、ですね」


ただ褒められることに慣れていない私はどうも表情が硬くなってしまう。

それを見た山崎社長が盛大に笑ったことで、ティーショットの順番を待っていた紬が振り向き、こちらを見た。
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