極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
「登山の前にランチにしよう」
この格好で?
…と思ったら登山口の駐車場まで車は走り、ケーブルカーの駅付近にあるお蕎麦屋さんに立ち寄った。
店内はランチの時間でとても混んでいる。
それでもちょうど出て来たお客様のテーブルに着くことが出来て待つことはしないで済んだ。
「ここはとろろ蕎麦が有名なんだ」
目移りしてしまうほどたくさんのメニューが掲げられている店内をキョロキョロと見回している私に紬がお勧めを教えてくれた。
「とろろ蕎麦ですか。いいですね。では私はそれにします。社長は?」
「俺も同じもので」
そう言って店員さんを呼ぶように手を挙げようとしたので先に私が手を挙げる。
でも店内は混んでいるから店員さんたちは気付かない。
「すみませーん!」
大きな声で呼び掛けてはじめて店員さんが気付き、注文を済ますことが出来た。
「いやー、楽しみですね。とろろ蕎麦」
周りで美味しそうに蕎麦を啜る音が食欲を増進させる。
空腹を紛らわせるようにお茶に手を伸ばし、それをひと口含めば芳ばしい香りが口いっぱいに広がった。
「これ、そば茶だ。美味しい」
もうひと口。
そう思って湯呑みを口元に持って行ったとき、目の前で呆然としている紬の姿が目に入った。