極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
「せっかくだから景色見てみようかな」
「大丈夫なのか?」
橋の一件で慎重になっている紬に笑顔で頷いて見せる。
だって今日、何度このセリフを口にさせてしまったか、数えたらきりがない。
いい加減心配させるのも申し訳なくて展望台の柵に触れて下界を見下ろす紬の斜め後ろから勇気を出して覗き込む。
「あー…怖い、は怖いですね。でも達成感がある分、見られます」
それもこれも紬のおかげだ。
「本当にありがとうございました」
紬の方に体ごと向いてからきちんとお礼を言う。
それなのになぜだかそっぽ向かれてしまった。
「礼を言われるのはまだ早いだろ。克服出来てないんだから」
「あ、なるほど」
そういうことで目を逸らされたのか。
よかった。
無視されたのかと思って焦ってしまった。
ただ、展望台を足早に降りて行った紬はそこからケーブルカーに乗るまでひと言も発することなく、私の方を見ることもなかった。