極甘求婚~クールな社長に愛されすぎて~
ちなみに事務所には遠藤さんの他に20人の従業員がいる。

男女比は半々で、その中で税理士資格を有するのは所長と私と10歳上の桧山晋さんだけ。

税理士事務所というと全員が資格を持っていると思われがちだけどそういう訳ではない。
ただ所長になるには資格が必要で、現所長の身内に同資格を取得している人がいないということで、桧山さんが次期所長として名前が挙がっている。

面倒見が良くて笑顔を絶やさない桧山さんは同僚からもお客様からも人望が厚いから私も異論はない。

けど、あれ?


「そういえば今日、桧山さんは?」


いつも遅くとも夕方には事務所にいるのに。


「桧山くんならお客様のところよ。ほら、今日のお客様、彼にご執心の方だから。多分、仕事終わりに食事にでも誘われているんじゃないかしら」


遠藤さんの意味ありげな言い方にピンときた。

イタリア人の父と日本人の母を持つ見目麗しい桧山さんは目の保養になると特に女性のお客様から人気なのだ。

それは新規を受けられるような状況にないほどで、紬の会社が私に回って来たのもそもそもはそれが理由。


「イケメンは大変ですね」
「なに言ってるの。楓ちゃんだって相当な美人さんよ。頭もいいし、性格もいいし、言うことなしじゃない」


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