リト・ノート
謝ろうとして、でも羽鳥には話してみようかと美雨はふと思った。

「パパ側の親戚がみんな行ってるの。ママは違うし、そのせいで私の受験は失敗したんだって思われてる。うちにもう１人優秀な女の子がいたら、ママじゃなくて私がダメなだけだってわかってもらえるんだけどなぁって」

「親のため？ 自分が行きたい学校行こうとか思わないわけ？」

「行きたかったんだよ？ でも、高校募集なんてなければいいのにとは思ってる、かも。諦めなければいいってママは言うけど、諦めちゃいたいかな」

口にしたことのない本音がするりと出た。

諦めてはいけないことなんて美雨もよく分かっている。でもやっぱり疲れたなと思うことがある。がんばってもきっとまた無駄なんじゃないかと。

それに高校入学のほうが狭き門なのだ。目指すこと自体に無理がある気もしていた。
< 54 / 141 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop