ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。

「な、なによ桐ケ谷さん」

先手とばかりに棘のある声を発した先輩に、拳を握りしめ言った。

「あのっ……！　私は昔から人と話すのが苦手でしてっ……！　だから決してお高くとまっているわけでも、人を選んで話しているわけでもありません！」

話し出した私に先輩たちは顔をしかめた。

「はぁ？　なにいって……」

「そっ、それに！　部長とは趣味が料理で同じで、意気投合したからでして！　専務とは幼なじみで、こんな私のことを理解してくれているから話せる存在なんです」

先輩の声を遮り言うと、これには先輩たちは目を丸くさせた。


「こっ、こんな性格なので先輩たちがおっしゃっていた通り、就職試験は惨敗でコネ入社です！でも、だからこそ仕事は一生懸命やろうと思って今日までやってきました！　……それでも私は、先輩たちに誰かと仲良くしたり、なにかするたびに悪く言われなくちゃいけないのでしょうか？」

途端に先輩たちの表情は一変。険しさを増していった。

「なにそれ！　どうしてあんたにそこまで私たちが悪く言われなくちゃいけないわけ？」

「桐ケ谷さんがなにしようが、私たちには関係ないし！」