ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。

「だったら！　……だったら綾瀬さんの言う通り、もう誰のことも悪く言うのはやめてください。先輩たちは軽く思っているかもしれませんが、言われた方の気持ちを考えてほしいです。どれだけ傷つくか……」

昔の私も今の私も、たくさん傷ついた。悲しくて苦しくて。臆病になるばかりで。そういった言われる側の気持ちを理解してほしい。

そんな想いで先輩たちを見つめるものの、彼女たちは吐き捨てるようにいった。

「別に誰がどこでなにを言おうと関係ないでしょ？」

「そうよ、私たちの話を勝手に聞いて傷ついているだけじゃない」

「そんなの私たちに関係ないし」

口々に文句を言う先輩たちに、たまらず綾瀬さんは「いい加減にしてください！」と声を上げた。

けれど先輩たちは気にする素振りも見せず、鼻で笑っている。

その姿にカチンときてしまい、思わず言ってしまった。

「でしたら私も好きに言わせていただきます！　専務……謙信くんに先輩たちのこと話します！」