ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
「じゃあ、今夜はこのまま俺といっしょに寝ようか?」

「…………えっ!?」

眠気を吹き飛ぶ話に閉じかけていた瞼を開け、勢いよく彼から離れた。

すると謙信くんはすぐに「冗談だよ」と言った。

からかわれたんだ。そうわかったのに、一瞬想像してしまい身体が火照る。

「えっと……ごめん、お風呂入って寝るね」

「あぁ、わかったよ。俺はあと少し仕事するから。明日は十一時に行くって伝えてあるからよろしくな」

「うん、わかった。……おやすみなさい」

「おやすみ」

挨拶を交わし、足早に浴室に駆け込んだ。ドアを閉めそのまま寄りかかってしまう。

『今夜はこのまま俺といっしょに寝ようか?』

言われた瞬間、ちょっと真に受けてしまった。

謙信くんの言うことは、どこまでが本気でどこまでが冗談か最近わからない。

それはキスされてからずっと。

顔が火照って熱くて、手で仰ぐ。

いっしょに寝る?って聞かれただけでこんな状態で私……これから大丈夫なのかな。

こんなんで本当に謙信くんと結婚できるのだろうか。
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