ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
「じいさん悪い、遅くなった」

そう言いながら部屋に入ってきたのは……謙信くんだった。

え……どうして謙信くんが家に?

「本当じゃ。せっかく食事を用意したというのに、すっかり冷めてしまったぞ?」

「あとでちゃんといただくよ」

戸惑う私を余所に、謙信くんは私の隣に腰を下ろし、おじいちゃんと話を繰り広げていく。

「それにどういうことじゃ? 謙信からすみれに話すと言っておったのに」

「しかたないだろ? 会社でするような話じゃないし。もっと早く来てすみれに伝えるつもりだったんだ」


切れ長の瞳を向けられ、ドキッとしてしまう。

いまだに頭の中はパニック状態だけれど……胸の鼓動は早鐘を鳴らし続けている。

見つめられ視線を逸らせずにいると、謙信くんは目を細めた。


「すみれ、会社では言えなくてごめん。……誕生日おめでとう」

「あっ……ありがとう」

面と向かって言われると気恥ずかしくなり、無駄に前髪に触れてしまった。

「プレゼントはもう見てくれた?」

「ごめっ……まだ見ていなくて」

謙信くんからもらったプレゼント、寝る前にゆっくり開けようと思っていて、だからまだ見ていない。
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