ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
「すみれ、じいちゃんに言われたんだろ? 家の修繕工事中、あいつの家に行けって」

「……うん」

バクバクとうるさい心臓。耳を澄まさないと一弥くんの声を聞き漏らしてしまいそうだ。

「半年くらいかかるって聞いているよ?」

おじいちゃんに言われたことを伝えると、一弥くんは「フッ」と笑った。

「そんなわけないだろ? すみれの家に工事は入っていないよ」

「うそ……」

「本当。だけどじいちゃんはあの家にいない。……ずっと入院していて、今夜手術を受けるから。だから俺も留学先から一時帰国したんだ」

まさか……っ! 信じられるわけがない。でも一弥くんが嘘を言っているようにも見えない。


「知らないのはすみれだけだよ。今夜、じいちゃんが入院している病院には親父や母さん、それにあいつも来ているはず。……いっしょに暮らしていて気づかなかった? 親父に聞いたらあいつ、頻繁にじいちゃんに会いに来ているって言っていたけど」

「謙信くんが……?」
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