ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
「でもいくらすみれの身長を追い抜かしても、どんなに俺が努力をしても、すみれが好きなあいつにはなれないんだよな」

ゆっくりと離れていく彼の手。

「いいんじゃねぇの? 一から片想い。……すみれには片想いが似合っている」

「……なにそれ」

ちょっと失礼じゃない? 片想いが似合っているなんて。

けれどわかっているよ。一弥くんからの精いっぱいのエールだって。

彼と顔を見合わせ、どちらからともなくクスクスと笑ってしまった。


「今度はあいつに同情じゃなく、好きだから結婚してもらえるよう頑張れ」

「うん……ありがとう」

「その方がじいちゃんも安心すると思う。……じいちゃんはすみれの心配ばかりしていたからさ」

そう話す一弥くんが見つめるのは、集中治療室にいるおじいちゃん。

「友達ができて、あいつに自分の気持ちを伝えるすみれを見たら、じいちゃんびっくりして腰抜かすかもな」

「……そうかも」

そんな姿が想像できて、口元が緩む。

でも友達ができたって言ったら、おじいちゃんは喜んでくれると思う。
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