ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
「じいちゃん、早く目覚ますといいな」
「……うん」
私もまたベッドに横たわったままのおじいちゃんへ視線を向けた。
静かな廊下に、機械音が響いてくる。
「じいちゃんが目を覚ましたら、あいつにちゃんと自分の気持ち、伝えに行けよ? ……あいつ、勘違いしていると思うぞ?」
「……う、ん」
そうだよね。……さっきは感情の赴くまま言ってしまったけれど私、肝心なことを彼に伝えていない。
おじいちゃんが目を覚まして、容態が安定したらもう一度ちゃんと伝えよう。
婚約を破棄したいって。……その理由もしっかりと。
この日の夜、一弥くんとおじいちゃんが目を覚ますのを待っていたけれど、夜が明けて朝になっても、おじいちゃんが目を覚ますことはなかった。
「いない……よね?」
次の日の夕方。住んでいる家に帰ってきたのに、気分はまるで泥棒。
静かに玄関の鍵を開け中の様子を盗み見ると、家の中は暗くシンとしている。
普通なら今の時間、謙信くんは会社のはず。それでも、もしいたらどうしようって心配だったけれど、杞憂だった。
ホッと胸を撫で下ろし、家に上がった。
「……うん」
私もまたベッドに横たわったままのおじいちゃんへ視線を向けた。
静かな廊下に、機械音が響いてくる。
「じいちゃんが目を覚ましたら、あいつにちゃんと自分の気持ち、伝えに行けよ? ……あいつ、勘違いしていると思うぞ?」
「……う、ん」
そうだよね。……さっきは感情の赴くまま言ってしまったけれど私、肝心なことを彼に伝えていない。
おじいちゃんが目を覚まして、容態が安定したらもう一度ちゃんと伝えよう。
婚約を破棄したいって。……その理由もしっかりと。
この日の夜、一弥くんとおじいちゃんが目を覚ますのを待っていたけれど、夜が明けて朝になっても、おじいちゃんが目を覚ますことはなかった。
「いない……よね?」
次の日の夕方。住んでいる家に帰ってきたのに、気分はまるで泥棒。
静かに玄関の鍵を開け中の様子を盗み見ると、家の中は暗くシンとしている。
普通なら今の時間、謙信くんは会社のはず。それでも、もしいたらどうしようって心配だったけれど、杞憂だった。
ホッと胸を撫で下ろし、家に上がった。