ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
会社には休みをもらい、ずっと病院にいたけれど、おじいちゃんは今も目を覚まさない。

午後に叔父さんたちが来て、目を覚ましたらすぐに連絡するから、一度家に戻って休んで来なさいと言われ、一弥くんと病院を後にした。


まずはサッとシャワーを浴びたものの、着替えを用意していないことに気づき、バスタオル一枚巻いて自分の部屋へと急ぐ。


そしてクローゼットの中から着替えを出し、着ている途中、ふと目に入ったのはクローゼットの中にあるアクセサリーボックス。

着替えを終え、アクセサリーボックスからおじいちゃんにもらった、おばあちゃんの真珠のイヤリングを取り出した。

それを手にベッドに腰掛け、箱の中を開けて眺めていると、これをもらった時のことを思い出す。


「おじいちゃん……どんな思いで私にこれを渡してくれたんだろう」

これを渡してくれた時、おじいちゃんはとっくに自分の病気のことを知っていたはず。

どうして病気のこと、私に話してくれなかったのかな? 叔父さんたちや謙信くんには話せて、どうして私には話せなかったの?
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