ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
私……おじいちゃんの目にそんなに弱い人間に映っていた?

「……それもそうか」

渇いた笑い声が漏れてしまう。

だって私、大人になってもおじいちゃんにずっと心配かけてきた。そんな私じゃ頼りにならないよね。

病気のこと、打ち明けられるわけないよね。

だから謙信くんに話したのかな? 謙信くんに私のことを頼んだの?


「だめだ、やっぱり聞かないと」

そうだよ、すべて本人に聞かなければわからないこと。

イヤリングを手にしたままベッドに横になった。

早くおじいちゃんの目が覚めるといいな。病気も完治して、また元気になってほしい。

だって私、まだおじいちゃんに聞きたいこと、話したいことがたくさんある。

これから先、心配かけないくらい強い自分になって見てほしい。安心させたい。


できるのなら、おばあちゃんのイヤリングをつけて結婚式を挙げたい。もちろん相手は謙信くんで、そこにおじいちゃんも出席してほしい。

「あれ……やだ、眠くなってきちゃった」

本当はシャワーを浴びて着替えをしたら、すぐに病院へ戻ろうと思っていたんだけど……だめだ、瞼が重い。

「少しだけ……寝ようかな」

そうしたらすぐに病院へ戻ろう。

ゆっくりと瞼を閉じ、すぐに深い眠りに落ちていった。
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