ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。

「んっ……」

次に目が覚めたのは、鳴り続けているスマホの着信音に気づいた時だった。

「電話？　……あ、あれ？」

帰ってきた時は夕方で部屋の中は薄暗かったはず。

なのに今は明るく、太陽の日差しがカーテンの隙間から差し込んでいる。いつの間にか朝を迎えていて焦りを覚える。

「嘘、私どれだけ寝ていたの？」

慌ててベッドから降り、部屋を出る。たしかスマホはバッグの中に入れっぱなしだった気がする。

するとバッグはリビングのソファの上に置かれていて、いまだに着信音は鳴ったまま。

すぐにスマホを取り相手を確認すると、公衆電話からだった。

もしかしておじいちゃん、目を覚ましたのかもしれない。

急いで電話に出るとすぐに、伯母さんの声が聞こえてきた。

『すみれちゃん？　よかった、電話に出て。心配していたのよ？　ずっと出ないから』

「すみません。寝ちゃっていて……。あの、おじいちゃんは？」

はやる気持ちを抑えながら尋ねると、伯母さんは涙声で教えてくれた。

『お義父さん、昨夜目を覚ましたの。もう大丈夫よ、意識もはっきりしていて、会うこともできるわ』

「本当ですか!?」