ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
「ありがとう、おじいちゃん。……私、頑張るから。早くおじいちゃんに幸せな姿を見せられるように」

決意を新たにおじいちゃんの手をギュッと握りしめる。

するとなぜかおじいちゃんは、私の想いを否定するように首を横に振った。

「なにを言っておる。じいちゃんはいつ死ぬかもわからないんだぞ? ……今すぐ幸せな姿を見せてもらわないと」

「――え」

おじいちゃんってば、なにを言って……?

私から視線を逸らし、なぜかドアの方を見つめるおじいちゃん。

「じいちゃんは少し疲れたから休ませてもらうよ。……その間にふたりでよく話してきなさい」

ふたりで――? その言葉に飛び跳ねる心臓。

おじいちゃんの手を離し、ゆっくりと立ち上がった。

そして振り返った先には、コンビニ袋を手にした謙信くんの姿。

「謙信、くん……?」

びっくりし呆然とする私に、謙信くんは気まずそうに目を泳がせる。

嘘、いつからいたの?

混乱する私におじいちゃんは言った。
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